投資目的の売電系設備から、実用レベルの設備へ
太陽光カメラ:太陽光蓄電システム
〜自然エネルギーの考え方の転換期を迎えて〜
太陽光蓄電システムとは
1.蓄電型の設備構成とは
太陽光パネル→チャージコントローラー→バッテリー→(インバーター)→電気製品です。
基本的に蓄電するためのバッテリーの有無がポイントです。
2.売電型と蓄電型の大きな違いとは
売電型の場合、まず電気量がどれくらい発電できるか?を計算するので、設置スペースが最重要になります。
言ってしまえば、「広ければ広いほど良い」ということです。
一方、蓄電システムの場合、必要な電気量は「小さければ小さいほど良い」ということからスタートしますので、全く逆の考え方となります。
具体的な設計手順について
1.消費電力の計算
使用したい機器の消費電力を計算します。
具体例として、「ネットワークカメラの映像を遠隔地にポケットワイファイ端末で飛ばす」という設備の場合、
ネットワークカメラ(消費電力7.5W)とポケットワイファイ端末(消費電力1W)の2つの電気製品があれば、最低の目的は達せられるので、
合計消費電力8.5Wで、1日に必要な電気は、8.5W×24時間の204Wとなります。
2.悪天候日数の設定
雨天や曇りなどにより日照が無くても設備が停止しないで作動する日数の設定です。
後述する太陽光パネルやバッテリーのサイズ選定に大きく影響しますので、蓄電システムの最重要ポイントと言ってもいいかも知れません。
もちろん悪天候日数が長ければ長いほど、設備の品質としては高くなりますが、設備の費用も高くなりますので、3日〜7日程度が一般的と
言えます。
具体例で3日とすると、太陽光発電に依らない、バッテリーのみでの電力として、8.5W×24時間×3日の612Wが必要ということになります。
3.太陽光パネルサイズの選定
例えば、100Wのパネルが実際に発電する電気は1時間に70Wですので、先ほどの悪天候設定で612Wの電気を発電するためには、
612W÷70Wで8.74時間分の日照が必要となります。
基本的に1日に3時間程度分の発電量と控えめに考えて計算するのが普通なので、8.74時間÷3時間=約3日となりますので、
100WのパネルでOKとなります。
ちなみに100Wのパネルが1日3時間分頑張ると、210Wの発電量となります。「30%OFF」という考え方が重要であり、
1日の発電量も3時間分程度と控えめに計算しておくと、間違いがありません。
つまり、この設備の場合、電気の使用量と発電量がほぼ一致しています。
※実際には、晴天時に太陽光パネルは3.5〜4時間分程度を発電しますので、35〜70Wが蓄電に回すことができます。
4.バッテリーサイズの選定
バッテリーの大きさは、悪天候時の連続日数から算出してみます。
すでに悪天候設定で612Wという数値を導き出していますので、鉛バッテリーの使用効率を70%、インバーターでの損失を15%とします。
612W÷70%÷85%=1028.57W
この数値をバッテリー電圧の12Vで割ります。
1028.57W÷12V=85.71A(←P(電力)÷V(電圧)=A(電流))
したがって、85.71A以上のバッテリーが必要となります。
具体的には100Aのバッテリーを選択されると良いでしょう。
5.チャージコントローラーの選定
小規模のシステムなので、10AのMPPT(Maximum Power Point Tracker:最大電力点追従制御)を選定すればよいでしょう。
最大電力点追従制御(ウィキペディア)
外付けのリモートメーターも付属ケーブルで簡単に設置できるタイプなどが良いでしょう。
6.インバーターの選定
バッテリーサイズの選定でも少し触れていますが、DC(直流)→AC(交流)にインバーターで変換すると、インバーターにより損失が15%ぐらい発生します。
手軽に電気製品を使用したい、またはDC駆動しない電気製品を使用したいという場合には「インバーター有り」の設計で良いでしょう。
インバーターのサイズですが、こちらも使用する電気製品見合いで選定されると良いでしょう。
具体的には120Wのインバーターを選定しました。
※具体例のネットワークカメラはDC駆動のカメラをACコンバーターで100W駆動に変換している電気製品ですので、太陽光パネルから見れば、DC→AC→DCと
2回も変換しているので、大切な電気をかなりロスしています。ポケットワイファイ端末も同様ですので、「インバーター無し」でも設計できます。
太陽光パネルは、何枚必要ですか?(パネルの高性能化)
100Wの太陽光パネルが発電する電気は、「カンカン照り」で、1時間に70Wぐらいです。地球は太陽を24時間で公転していますので、
固定した太陽光パネルが「カンカン照り」の恩恵をあずかれるのは、1日に3〜4時間です。したがって、1日に発電する電気は
210W〜280W程度ということになります。例えば、カメラやポケットワイファイの24時間での消費電力の合計が280W以上であれば、
100W以上の太陽光パネルが必要ということになります。
※上記写真では、太陽光パネルの「重り」として、仮設用の屋外アクセスポイントの水タンクをくくり付けておりますが、
アクセスポイントの電源は太陽光パネルとは別電源で動いております。
雨の日は、カメラの映像が見えなくても良いですか?(蓄電の考え方)
ダメです。笑。この想定を始めると、蓄電(バッテリー)設備の大きさの話題が中心になってしまい、なんだか「非現実」的な路線に
脱線して、太陽光設備は実用的では無いでしょう...という結論に誘導されてしまいがちです。
しかし、最近では「日照無し何日間」という「発電されない期間」を設定して、必要な蓄電容量を逆算する方法が実際に用いられています。
例えば、「日照無しで3日以上、発電できていないようだったら、現場に行ってバッテリー充電を人手で行ってフォローする。」
ということも現実に行われています。
自然エネルギーの場合、メンテナンスフリーにすると「無駄で高額」ということも認知されつつあります。
電気の無い場所や電気代0円の設備のための太陽光活用(システム設計)
1.設備の総電力を決めましょう。=カメラの場合、カメラと周辺設備の消費電力の和を計算します。
2.次に「日照無し」の日数を決めましょう。=バッテリーの大きさを決めます。
3.太陽光パネルの出力を決めます。=2が決まると、3も自ずと決まります。
バッテリーは重いという弱点があります。(システム設計の重要ポイントその1)
例えば、10Ahの鉛のバッテリーだったら、単体で30Kg以上あります。実際の設置場所や設置方法を検討する時にはバッテリーの扱いが
重要になります。
通信方法の策定(システム設計の重要ポイントその2)
写真では、ポケットワイファイ(UQ-WIMAX)を使用していますが、光回線などの利用も消費電力見合いですが検討してみるべきでしょう。
また通信会社の回線に頼らずに、無線LAN網を自前で築いておくというのも、自治体向けとしては現実的かも知れません。(=通信系のライフラインが
ダウンしても電気さえあれば無線LANネットワークとしては生き続けているので、長距離の無線LANとして要所を数か所間で結んでいれば、
太陽光の設備さえあれば通信できるという自前のネットワーク環境を構築できます。)
実際のカメラ映像(ネットワークカメラは十分に実用レベルです。)
今回の弊社の屋上の実験で使用している屋外用カメラ(ROBO-727w)は、スマートフォンからも簡単に映像が確認できるカメラです。暗くなると
赤外線レンズに切り替わりますので、夜間の撮影もOKです。消費電力は、夜間でも8W以下です。
また単体毎にSDカードに録画が可能ですので、
普段はモニターせず録画だけしているという「最近流行のスタンドアローンカメラ(映像のプライバシー問題などを考慮して、必要な時だけ録画映像を
見る)システム」にも応用可能です。この場合、通信回線を使いませんので通信費用が掛からないという利点も生まれます。
ネットワークカメラの選び方と特徴のご紹介(リンク)
Wi-Fi防犯カメラ:東京アンテナ工事(株)
「儲かる」という考え方は薄れつつあります。
停電時に使用する電気製品を考えておきましょう。
マンション管理組合様の場合、例えば実用的に普段から共用部の機器(例:LED外灯)で蓄電設備と併用してご使用いただいておき、緊急時の電源として
確保されておくのが「今後のマンション設備」としてはマッチしているのかも知れません。
マンションの屋上は他の戸建て住宅と比較して「日陰になりにくい」ので太陽光パネルの設置場所としては向いています。売電目的でなければ、3KW程度の
設備(250Wの太陽光パネルで12枚(50平米))で1時間に2,100Wの発電が可能です。主な電気製品の消費電力は、上記資料の通りですので、単純計算では
合計した値が2,100W以下であらば停電時でも使えることになります。
LEDや携帯電話の充電、ラジオ、場合によっては液晶テレビなどの情報収集の用途を中心に考え、
太陽光発電のピークの時間帯に炊飯器などで炊き出しを行うイメージでシステム設計されると良いと思います。
弊社で手掛けているマンション太陽光設備です。↓
屋上にアンカーを打たない=雨漏りしない
風の煽り(あおり)を受けずに揚力を抑えます。
ALC屋根のための設置工法を、通常のマンション屋上にも適用することで、
・アンカー不要
・床面に穴をあけない
・雨漏りしない
・防水層を傷つけない
太陽光発電設備最大の欠点、「雨漏り」のリスクを回避する工法です。
実はいろいろな太陽光発電設備の構築をお手伝いしています。
ノーアンカー以外の太陽光にも工事実績があります。
弊社の元請の事業ではありませんが、野立ての大型設備や工場の屋上設備など、ノーアンカー以外のいわゆる
「普通の太陽光発電設備」の工事実績の方が多くあります。
備えあれば憂い無し、心の余裕も導入のメリットです。
実際の被災地での太陽光の利用用途とは
被災地で太陽光設備を保有されていた方の約90%が停電時に自立運転(太陽光パネルが発電した電気をそのまま取り出す機能)を利用され、その用途の第1位が「携帯電話の充電」、第2位が「炊飯器」、第3位が「テレビ」だったそうです。
太陽光発電 停電時の自立運転モードの利用実態調査〜ご近所の手助けができ、繋がりが深まった等のコメントが多数〜セキスイハイム2011.8.18プレスリリース
被災者の声〜太陽光発電システムの自立運転機能を使って〜東京都環境局
デジネットは東京アンテナ工事株式会社のインターネットブランドです。
インターネットマンション創世記の1999年から元請としての実績があります。
デジネット(diginet.ne.jp:一般第二種電気通信事業者 総務省 第A-10-3108号)は東京アンテナ工事株式会社のISP事業です。
1999年からインターネットマンション事業の実績があります。
東京ビッグサイトに弊社単独ブースで毎年出展しています。
産業交流展2015(2015年11月18〜20日、東京ビッグサイト)の様子です。
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